意外と知らない看板用インクの種類 ―― 溶剤・水性・ラテックス

意外と知らない看板用インクの種類ーー溶剤・水性・ラテックス

本や新聞、電車の吊り広告、そしてお店の看板…私たちの身の周りには多くの印刷物があふれています。
それらのほとんどに使われているインクですが、一口にインクといっても種類や性質など複雑です。
それらすべてを気にして使用している方は少ないのではないでしょうか。

今回は、そんなインクの種類や性質と、看板を製作するときに使用するインクについて簡単にご説明します。

そもそもインクとは?

インクとは「筆記用または印刷用の、色のついた液体」のことで、主な成分は着色剤(色素)と溶剤です。この着色剤と溶剤の種類によってインクの種類が変わります。

そもそもインクとは?

着色剤 ~顔料と染料の違い~

顔料は着色剤が溶剤に溶けないもの、染料は着色剤が溶剤に溶けるものを言います。
顔料は洞窟の壁面に描かれた壁画など古代から使われています。インクが印刷物にしみこまず、表面に定着するので表現できる色の幅が広く、濃淡も表しやすいのが特徴です。
染料は、染め物に使われるなど、顔料ほどではないものの古くから使われてきました。インクが印刷物にしみこむため、幅広い面積を少ない量で染めることができ、透明感を出すことができます。

溶剤 ~水性と油性の違い~

水性インクは、乾燥するときに水分が揮発するもの、油性インクは有機溶剤が揮発するものを言います。
そのため、水性インクの方が環境に良いですが、油性インクの方が水性インクに比べ、耐候性が高いという特長があります。

看板に使用するインクって?

ここまではインクの基本について説明してきました。
ここからは、看板業界で使われているインクの種類を説明していきます。

お店の名前やメニューがかかれている看板の表示面も、プリンタのサイズは違いますが家庭での印刷と同様に「インクジェットプリンタ」を使って、看板用のメディアに印刷しています。
看板に使用する印刷メディアはインクジェットメディアといい、使用するインクの種類や設置場所などによって変更します。
※インクジェットメディアについては別記事でご紹介しておりますので、気になった方はぜひご覧ください。

インクジェットメディアとは?混同しやすいロール紙との違いや特徴を説明します

さて、看板の表示面に使用するインクの種類ですが、大きく分けて「溶剤系インク」と「水性インク」の2種類があり、それぞれ専用のインクジェットプリンタを使用します。

耐候性に優れた「溶剤系インク」

溶剤が有機溶剤のインクです。
溶剤系インクの特徴として、水性のインクに比べ耐候性に優れており屋外向きであることが挙げられます。その理由はインクジェットメディアの表面を有機溶剤で侵した後に、熱でインクの有機溶剤を揮発させ、インクをインクジェットメディアに浸透・定着させているからです。

しかしメディアを溶剤で侵すため、溶剤系インクの受容層のあるインクジェットメディアを使用する必要があります。
また、有機溶剤が揮発するまでに時間がかかり(弊社では1日設けています)、揮発する有機溶剤のにおいが水性インクよりもきつく、換気をしなければなりません。さらに環境にもあまりよくはないなどのデメリットがあります。

環境にやさしく発色に優れた「水性インク」

溶剤が水のインクです。
水性インクを使用する水性インクジェットプリンタは、プリントヘッドから吐出されたインクがメディアに浸透することでインクを定着させます。水性インクは鮮やかな色彩の表現ができます。また、溶媒が水のため、溶剤系インクに比べにおいが少なく環境にも良いというメリットがあります。

インクジェットメディアの表面を侵して定着する溶剤系インクに比べ、インクが浸透するだけの水性インクは、溶剤系インクと比べ耐候性が劣るため、屋内向きです。また、インクの溶媒が水のため、水を吸収することのできるインクの受容層をもったインクジェットメディアを使用する必要があります。

溶剤系インクと水性インクの長所をあわせ持った「ラテックスインク」

耐候性は優るが環境にあまりよくない溶剤系インクと、環境には良いが耐候性は劣る水性インク。
どちらを使えばいいのか……と迷った方に朗報です。
それぞれの長所を持った「ラテックスインク」というものがあります。

ラテックスインクジェットプリンタ

ラテックスインクは耐候性◎・乾燥◎・環境にも良い!

ラテックスインクジェットプリンタという専用のプリンタを使用するラテックスインクは、先に述べたように、溶剤系インクと水性インクそれぞれの長所を持ったインクです。

水性インクでありながら、耐候性に優れており、メディアを選ばない汎用性があります。(※1)
また、インクをインクジェットメディアにのせ、プリンタに内蔵されているヒーターで熱することでインクの水分をとばし、インクを定着させるため、溶剤系インクを使用した時のようにインクジェットメディアを乾燥させる時間もかかりません。
水性インクであるため、もちろん環境にも良いです。
ただ、わずかながら、色の鮮やかさが劣ると感じる人もいるようです。

(※1)インクを定着させるためにプリンタ内のヒーターで熱するため、熱に弱いメディアはご使用いただけません。

サインシティでは、主に最後に説明しましたラテックスインクジェットプリンタを使用して看板を製作しております。

まとめ

いかがでしたか?
今回は、一般的なインクの種類と、看板作成の際に使用するインク「溶剤」「水性」「ラテックス」についてご説明しました。
改めて特徴をまとめておきましょう。

・溶剤インク
耐候性に優れている。溶剤の揮発に時間がかかり、有機溶剤のにおいがある。屋外向き。
・水性インク
溶媒が水のため環境に良く、発色が鮮やか。耐候性に劣る。屋内向き。
・ラテックスインク
水性インクでありながら耐候性に優れ、乾燥が早い。色の鮮やかさに欠けると感じる人もいる。

性質が複雑で違いの分かりにくいインクですが、私たちの身近にも多く使われており、看板を作成するうえで決して無視できないものです。
サインシティでは、ご要望の看板に合わせたインク・インクジェットメディアをご提案します。看板を作りたいけれど、どうしたらいいか分からない……ということがございましたら、お気軽にお問い合わせください!

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